鳩が可愛くなかった話

今まで僕は概念として鳩を見ていた。なんか小声で鳴きながらそこら辺を飛んだり歩いたりしてる灰色の鳥。

おととい、突然鳩を鳩として見ることができなくなり、非常にマジマジと鳩を観察してしまった。大切な45分間の昼休みをほとんど使って。

まず顔だけど、なんだアレは。同じように街で見かけるスズメやカラスなんかはクリクリで愛らしい真っ黒な目をしてる。一方鳩は、おっきい白丸にちいさい黒点がぽんと乗ってるだけの目で、造形に情熱を全然感じない。頭の形も、初期アバター感と言うか、「鳥」のキホン的な素体を持ってきて、これを適当にアレンジして自分だけの小鳥を作ってね!と言う指示を無視してそのままくっつけちゃった、みたいな適当さが漂ってる。

あと色。たまにかなり白かったりかなり黒かったりするヤツがいるのも納得がいかないけど、基本が灰色っていうのも納得がいかない。コンクリの地面に馴染んで身を隠してるかといえばそんな雰囲気はなく、むしろ町中でギリギリ違和感を感じないレベルの存在感を身にまとっている。結果、白黒はっきりしない、というイメージだけくっついている。

そう、鳩は全体的に白黒はっきりしてない!

大きさだって、スズメを始めとする小鳥みたいに小さくて隠れたり隙間に入り込んだりできる大きさじゃないし、かと言って大きさを活かして他の鳥を食べてるのかといったらそんな場面を見たことは無い。どちらかと言うとカラスとかに虐殺されて食い散らかされた死体が最寄り駅に行くまでの道に年2回位落っこちてる。

更に、何食べてるのかはっきりしないのも不気味。完全に舗装された道路の表面をコツコツついばんでいるのはよく見かけるんだけど、鳩が来る前からそこには何もなかったし、去ってったあとも何かが増えたり減ったりしている様子はない。この鳩が道路をコツコツしているのを見ると、いつも「仙人は霞を食って生きている」ことと「カタツムリはコンクリも食って生きている」ことを思い出す。両者は神秘度も生活感もまるでかけ離れていて、鳩の食事はそのごたまぜ、妙に儀式的で淡々としている反面、切実さもにじみ出ている、不思議な光景に感じる。

あんな、生きていく上でのビジョンがボケボケの鳥が、このコンクリートジャングルであれだけクルッポクルッポはびこっているのが一番不思議でならない。

思うに、実は地球は既に鳩に侵略されていて、人間はあれだけ町中に鳩が蔓延しているのに疑問を抱かないように認識を歪める処理を施されているんだろう。そしてそれに気づいてしまった人間は存在を抹消されるので、今後僕がブログを更新しなくなったら鳩を捕まえて居場所を聞き出して助けに来てください。

最後に、僕は別に鳩が嫌いなわけでも、バカにしたいわけでもないので、鳩好きな人は怒らないでください。嫌いだったら昼休みまるまる使ってはと見たりしないぞ。

闖入者、読み終わってた

一個前に書いた記事を読み返したら、安部公房の「闖入者」を読んでてしんどい と言う愚痴が書いてあった。

結局全部読み切った。結局闖入者たちの中に理解者も味方もいなかった。 自分のために生きていたはずの人生を闖入してくる家族に食いつぶされて、いつかは干からびて小さくなって弔われることもなくほうきで掃いてゴミ箱に捨てられてしまうような自分がふわっと想像できてとても良かった。

闖入者 を読んでる

安部公房作の「闖入者」を読んでいる。が、一行一行イラつくわ主人公が不憫だわでなかなか読み進まない。

感情の動かし方というものにはいろんな種類があると思うんだけれど、安部公房の理不尽に翻弄され不等な扱いを受ける主人公の感情を追体験させる技術はすごいと思った。昔「砂の女」を読んだときも散々イライラしてなかなか読み終わらなかった記憶がある。

イライラするとは言っても別に嫌いなわけではなく、むしろ安部公房は好きな作家の部類に入るんだけれど、それはそれとして本当に読んでいるとイライラする作品がいくつかある。厳密に言うならイライラするというのは間違いなのかもしれないけれど。

ラーメンズ『STUDY』より「金部」を10回見た

一年ほど前から、コントグループ『ラーメンズ』のコントがyoutubeで公式に視聴できるようになった。

そしてつい二〜三週間前から、部屋にいるあいだ中ラーメンズのコント流しっぱなしの生活が始まってしまった。

ラーメンズのコントは、練り込まれた世界観を直接説明せず、間接的にその世界の住人の日常を通して自然に描写しているところにそのすばらしさがあると思う。

特に気に入っているコントが「金部」のコント。

おそらく大学四年生の二人組が交通量調査のアルバイトをしている十数分間を切り取ったコントだ。

ラーメンズのコントによくある形として、二人が既知の関係というものがあるが、このコントもそう。

二人は知り合いで、コントが展開する時間内に関係性が大きく変化することもない。ただ、ある二者の関係性ってのは緩やかに変化し続けてきて、これからも緩やかに変化し続けるんだなっていうのを、ラーメンズのコントを見ていると往々感じる。

とても曲率半径の大きな曲線の一部を鑑賞している気分になって、心地よい。



「金部」を10回見た。

セリフもほとんど覚えてしまった。

二人が幸せにどこかの世界で生きていてほしい。